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【高瀬舟】~森鴎外から学ぶ~5

みなさんこんにちは。今回は、前回に引き続き以下の部分に着目していきたいと思います。

「庄兵衞は心の内に思つた。これまで此高瀬舟の宰領をしたことは幾度だか知れない。しかし載せて行く罪人は、いつも殆ど同じやうに、目も當てられぬ氣の毒な樣子をしてゐた。それに此男はどうしたのだらう。遊山船にでも乘つたやうな顏をしてゐる。罪は弟を殺したのださうだが、よしや其弟が惡い奴で、それをどんな行掛りになつて殺したにせよ、人の情として好い心持はせぬ筈である。この色の蒼い痩男が、その人の情と云ふものが全く缺けてゐる程の、世にも稀な惡人であらうか。どうもさうは思はれない。ひよつと氣でも狂つてゐるのではあるまいか。いやいや。それにしては何一つ辻褄の合はぬ言語や擧動がない。此男はどうしたのだらう。庄兵衞がためには喜助の態度が考へれば考へる程わからなくなるのである。」

この場面では、前回までの部分と同様に喜助の様子とそれに対して庄兵衞が考えていることが描かれています。

通常、遠島を申し渡され船に乗せられた罪人はとても気の毒な様子をしていると書いてありますが、それに対して喜助は船旅でもしているかのような顔をしていると書いてあります。
なぜ喜助は弟を殺し、罪人として船に乗せられているのに通常の罪人に見られるような気の毒な様子をしていないのでしょうか。

弟が悪い人であったとしても、人を殺すという罪を犯していい気持ちがすることはないはずです。では、なぜ喜助は船旅をしているかのような表情をしているのでしょうか。

また、庄兵衞は喜助に対して人の情がない悪人には見えない、また、辻褄の合わない言動もなく、気が狂っている様子もないと考えています。では、喜助のこうした様子の背景には何があるのでしょうか。

どうして喜助は弟を殺したのでしょうか。その理由や背景について考えてみると、喜助の心情についても理解が深まると思います。
ぜひ喜助の態度の背景に着目しながら読み進めてみてください。

引用:青空文庫・「高瀬舟」森鷗外https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/691_15352.html

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