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【高瀬舟】~森鴎外から学ぶ~3
「其日は暮方から風が歇
んで、空一面を蔽つた薄い雲が、月の輪廓をかすませ、やうやう近寄つて來る夏の温さが、兩岸の土からも、川床の土からも、靄になつて立ち昇るかと思はれる夜であつた。下京の町を離れて、加茂川を横ぎつた頃からは、あたりがひつそりとして、只舳
に割かれる水のささやきを聞くのみである。」
本日は前回の続きのこの部分に着目します。
「風がやんで」「月の輪廓をかすませ」という部分からは、風がなく月がぼんやり見えている夜の静かな情景が思い浮かびます。
また、「夏の暑さが…靄になつて立ち昇る」という部分からは、夏のじめっとした夜の空気が感じられます。
さらに、「あたりがひっそりとして…水のささやきを聞くのみである」という部分では、船が町から遠ざかり、とても静かな様子が描写されています。また、聞こえるのは水の音だけであり、船が静かにゆっくり進んでいる様子が読み取れます。
このように、雲や月の様子、周囲の音や雰囲気などの細かい描写から、静かで落ち着いた夜の情景が思い浮かびます。
情景描写に注目することで、物語の雰囲気や登場人物の心情についての理解がより深まると思いますので、ぜひ注目して読んでみてください。
引用:青空文庫・「高瀬舟」森鷗外https://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/691_15352.html




